更新日:2026年5月23日
監修・執筆:しんごパパDr.
対象:学校検診で「側弯症の疑い」を指摘されたお子さんの親御さん
学校検診で「側弯症の疑いがあります」と書かれた紙をもらった瞬間、親御さんは本当に不安になると思います。
「え、何それ?うちの子は大丈夫?」
「姿勢が悪いだけじゃないの?」
「痛がっていないし、部活も普通にできているけど、本当に病気なの?」
「成長すれば自然に戻ることもあるんじゃないの?」
外来でも、ほとんどの親御さんが同じように言われます。ですので、まずお伝えしたいのは、そう感じるのはとても自然だということです。
この記事は、不安をあおるための記事ではありません。ただし、思春期特発性側弯症(AIS)は、知らずに放置すると選択肢が狭くなることがある病気です。ここで大事なのは、「怖がること」ではなく、「角度・成長・タイミング」を知ることです。
思春期特発性側弯症は、10歳以降から骨の成熟が終わるまでに多く見つかる、原因がはっきりしない脊柱側弯症です。診断には立位X線でCobb角を測定し、一般に10度以上を側弯症と判断します(2)(3)。AISは10〜18歳ごろに多い小児脊柱変形の代表的な疾患として整理されています。(国立生物工学情報センター)

思春期特発性側弯症とは、成長期に背骨が横方向へ曲がり、さらにねじれを伴うことがある病気です。
単なる「姿勢の悪さ」とは違い、診断にはレントゲンでCobb角を測る必要があります。
側弯症という病気は、実は現代だけのものではありません。古代ギリシャの時代から、背骨の変形は医学的に観察されていました。ヒポクラテスは脊椎の変形について記述し、「Scoliosis」という言葉の歴史も古くから存在します(1)。(PMC)

そして、我々整形外科医にとっても、子どもの身体の変形を正しく見つけ、必要な時期に支えるという考え方はとても大切です。日本整形外科学会のロゴには、曲がった木を外から支えるような意味合いが込められていると言われます。側弯症もまさに同じで、「放っておく病気」ではなく、「正しく支えながら見守る病気」なのです。
側弯症といっても、すべてが同じではありません。大きく分けると、機能性側弯症と構築性側弯症があります。
機能性側弯症は、他の原因によって一時的に体が傾いて見える状態です。たとえば、椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰痛、脚の長さの差などが原因で、背骨が曲がって見えることがあります。この場合、原因がなくなることで側弯が軽くなったり、消えたりすることがあります。
一方で、治療や経過観察の対象になるのが構築性側弯症です。構築性側弯症には、神経の病気が原因の神経原性側弯症、筋肉の病気が原因の筋原性側弯症、背骨の形成異常による先天性側弯症などがあります。
その中で最も頻度が高いのが、今回のテーマである思春期特発性側弯症です。
「思春期」は10〜18歳ごろの成長期、「特発性」は明らかな原因が分からないという意味です。
ここで大事なのは、原因が分からないからといって、何もできないわけではないということです。原因そのものを取り除く治療はまだ確立していませんが、進行を見極め、必要な時期に装具治療などを行うことで、手術に至るリスクを下げられる可能性があります(7)。
学校検診は、症状が出る前の側弯症に気づくための大切な入口です。ただし、学校検診だけで確定診断はできません。最終的には整形外科で診察を受け、必要に応じて立位X線でCobb角を測定します。
日本では、学校保健安全法・学校健診の枠組みの中で、脊柱や胸郭、四肢の状態を確認する仕組みがあります。側弯症検診については、学校検診で早期発見し、必要に応じて専門医療につなげる意義が学会資料でも説明されています。(日本側弯症学会)
学校検診で見るポイントには、肩の高さの左右差、肩甲骨の出っ張り、ウエストラインの非対称、前屈したときの背中や肋骨の盛り上がりなどがあります。皆さんも「前屈テスト」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ただし、この方法は注意して見ないと見落とすことがあります。ですので、「疑い」と言われた時点で、怖がりすぎる必要はありませんが、放置はしないでください。
「痛くないから大丈夫」
「部活ができているから大丈夫」
「姿勢の問題だと思うから様子を見よう」
この判断だけで通院をやめてしまうと、成長期に角度が進んでしまうことがあります。初期の側弯症は症状がほとんどないため、本人も家族も気づきにくいのです。

Cobb角とは、レントゲンで背骨の曲がりを数値化したものです。背骨の曲がりが一番大きい範囲で、上端と下端の椎骨の傾きを測り、その角度をCobb角として評価します。
一般的には、立位X線でCobb角10度以上を側弯症と判断します。Cobb角が20度未満であれば経過観察、20度以上で成長が残っている場合は装具治療を検討する、という流れがよく使われます。ただし、治療方針は角度だけで決まるわけではありません。年齢、成長段階、曲がりの場所、進行速度などを総合して判断します。
親御さんにとって、「20度」「40度」と言われても、正直ピンと来ないと思います。ですが、ここで大切なのは、背中を見た印象だけで判断しないことです。
同じ20度でも、もう成長がほぼ終わっている子と、これから一気に身長が伸びる子では意味がまったく違います。側弯症の治療判断では、今の角度とこれからどれだけ成長が残っているかをセットで見る必要があります。

リッサーサインとは、骨の成熟度を評価する指標の一つです。骨盤のレントゲン所見から、成長がどれくらい残っているかを0〜5の段階で評価します。
ざっくり言うと、リッサーサインの数字が小さいほど、まだ身長が伸びる可能性が残っています。 リッサー0〜3くらいは進行に注意が必要な時期と考えられます。リッサー5であれば骨成熟が進 んでおり、一般に装具治療の適応は乏しくなります。 ここで大事なのは、背が伸びる時期は、背骨の曲がりも一緒に動きやすいということです。 未治療の側弯症を調べた研究では、初診時の角度、年齢、リッサーサインなどが進行リスクに関 連することが示されています(6)。(PubMed) ですので、「角度が軽いから安心」ではなく、「角度が軽い今だからこそ、成長期に見逃さない」ことが大切です。
思春期特発性側弯症は、すべての子が治療を必要とするわけではありません。ここはとても大事です。
でも同時に、何もしなくていい子と、注意深く見ないといけない子が確実に存在します。その見極めは、親御さんの不安の大きさでも、見た目の印象でもなく、Cobb角と成長段階で行います。
自然経過に関するレビューでは、初診時のCobb角や骨成熟度が進行リスクに関係することが整理されています。また、成長終了後でも大きなカーブは進行し続ける可能性があります(5)(8)。(PubMed)
「Cobb角20度未満なら経過観察」と言われることがあります。ここで誤解しないでほしいのは、経過観察は“何もしない”ではないということです。
経過観察とは、未来の選択肢を守るために見続けることです。
具体的には、4〜6か月ごとにレントゲンで角度を確認し、曲がりが進んでいないか、成長がどれくらい残っているかを評価します。必要があれば、途中で装具治療へ切り替えます。
外来で本当につらいのは、「他のところで様子見と言われたので通わなくなっていました」「整体で治ると言われていました」と言われ、初めて病院に来たときにはCobb角が40度を超えているようなケースです。
側弯症は、判断の基準を知らないまま時間が過ぎると、選べる道が狭くなってしまいます。
初期の思春期特発性側弯症では、痛みもなく、運動もでき、本人も困っていないことが多いです。だからこそ、周りが気づきにくいのです。
ただし、重症になってくると、主に4つの問題が出ることがあります。
一つ目は、呼吸機能の低下です。胸椎の側弯が大きくなると、肋骨や胸郭の形にも影響し、肺機能に影響することがあります。未治療例の長期追跡研究では、胸椎カーブの大きい患者で肺機能への影響が報告されています(4)。(PubMed)
二つ目は、運動機能の低下です。背骨の変形が大きくなると、体幹バランスや呼吸機能の影響もあり、俊敏性や持久力に影響する可能性があります。
三つ目は、痛みです。新潟市の大規模調査では、思春期特発性側弯症のある生徒の背部痛に関する疫学的検討が行われています(9)。もちろん、側弯症があるから必ず痛むわけではありません。ただ、背中や腰の痛みが出ることはあります。(PubMed)
四つ目は、見た目と心理面の問題です。肩の高さ、肩甲骨、肋骨の出っ張り、ウエストラインの左右差などが目立つと、本人が容姿を気にして対人関係に消極的になることがあります。側弯症とQOL、心理社会的問題についてはレビューでも議論されています(10)。(PubMed)
注意してほしいのは、これらは主に進行した場合に問題になりやすいということです。初期にはほとんど症状がない。だからこそ、学校検診と定期的な経過観察が大切なのです。

思春期特発性側弯症の治療を考えるときの軸は、いつも3つです。
一つ目は、背骨の曲がりの大きさ、つまりCobb角。
二つ目は、成長がどれくらい残っているか。
三つ目は、今、経過観察なのか、装具治療なのか、手術を考える時期なのか。
これを経験や見た目だけで判断するのではなく、数字と医学的根拠をもとに決めていきます。
Cobb角が20度未満の場合、多くは経過観察になります。ただし、成長が残っている子では進行する可能性があるため、定期的に確認します。
「角度が軽いなら、もう安心ですよね?」
「症状もないし、通わなくていいですよね?」
この質問は本当によく受けます。でも、ここで大切なのは、背骨の成長が残っているかどうかです。
もう身長がほぼ止まっている子と、これから一気に身長が伸びる子では、同じ20度でも意味が違います。経過観察とは、未来の選択肢を守るために“見続ける”ことです。

装具治療は、思春期特発性側弯症の治療でとても重要です。一般的には、Cobb角20〜40度程度で、成長が残っている場合に検討されます。
ここで誤解しないでほしいのは、装具は背骨を完全にまっすぐに戻す治療ではないということです。目的は、成長が終わるまで、これ以上進ませないことです。
親御さんの本音としては、
「かわいそうで……」
「一日中つけるんですよね?」
「治らないなら意味があるんですか?」
「体育のときは外していいんですか?」
こう感じるのは当然です。特に、思春期のお子さんにとって装具は見た目、生活、学校、友人関係にも関わる大きな問題です。
ただし、装具治療にはしっかりした根拠があります。BrAIST試験という大規模研究では、装具治療が高リスクの思春期特発性側弯症の進行を抑え、手術閾値への進行を減らすことが示されました。また、装着時間が長いほど効果が高いという用量反応関係も示されています(7)。(PubMed)
ここでいう用量反応とは、薬でいう「量が増えるほど効果が変わる」という関係に近いものです。装具も「つけたかどうか」だけではなく、「どれだけつけたか」で成績が変わります。
近年は18時間/日以上の装着についても検討が進んでいます。単純に「長ければ長いほど絶対によい」と言い切るのではなく、生活の質や皮膚トラブル、学校生活も含めて主治医と調整する必要があります。ただ、少なくとも装着時間が短すぎると十分な効果が得られにくいことは知っておくべきです。
装具治療には終わりがあります。基本的には、成長が終わる時期が終了の目安になります。
ただし、「身長が止まった気がする」だけで自己判断して外すのは危険です。リッサーサイン、月経開始からの期間、身長変化、手の骨年齢などを参考にしながら、徐々に装着時間を減らし、レントゲンで悪化がないか確認していきます。
女の子では中学3年生ごろ、男の子では高校1〜2年生ごろまで装具が必要になることもあります。もちろん個人差があります。
実際に、「成長が終わったと思って装具を外したら曲がりが進んだ」ということもあります。だからこそ、信頼できる医師と一緒に、慎重に離脱していくことが大切です。
「手術」という言葉を聞くと、頭が真っ白になる親御さんもいます。
「手術だけは避けたい」
「合併症が怖い」
「動けなくなったらどうしよう」
当然の感情です。手術は、思春期特発性側弯症の子が全員必要になるわけではありません。適切に経過観察や装具治療を行っても進行する場合、また一定以上のCobb角に達した場合に検討されます。
なぜ手術を検討するかというと、角度が大きくなることで、呼吸機能、痛み、運動機能、整容面、心理面に影響する可能性があるからです。
一方で、手術には合併症のリスクもあります。日本側弯症学会の調査では、小児脊柱変形手術全体や特発性側弯症における合併症率が報告されており、特発性側弯症では2012年から2017年にかけて合併症率が低下したことも示されています(14)。(PubMed)
近年は手術技術、神経モニタリング、画像支援、インプラントなどの進歩により安全性は向上しています。しかし、安易に考えてよい治療ではありません。手術治療で大切なのは、「怖いから避ける」でも「早くやればよい」でもなく、適切なタイミングで判断することです。

結論から言うと、リュックの持ち方が思春期特発性側弯症の原因になる、という強い根拠はありません。
2017年に日本の女子中学生2,759人を対象に、思春期特発性側弯症と生活習慣、身体活動の関連を調べた研究では、かばんの持ち方や重さ、姿勢、勉強時間などがAISと明確に関連するとは示されませんでした(11)。(PubMed)
ただし、これは「どんな持ち方をしてもいい」という意味ではありません。両肩で背負う、できるだけ軽くする、体にフィットさせる、左右差の強い負担を減らす。こうしたことは、背中や肩への余計なストレスを減らす良い生活習慣です。
大切なのは、「リュックのせいで側弯症になった」と親御さんが自分を責めないことです。

これは「半分ほんと、半分誤解」です。
嘘なのは、「親にあるから子どもも必ずなる」という考え方です。
本当なのは、遺伝的要因が関係している可能性が高いということです。
家族内で側弯症がみられること、双子で一致率が高いこと、さらにゲノム解析で関連遺伝子が報告されていることから、思春期特発性側弯症には遺伝的因子が関わると考えられています。日本人を含む研究では、LBX1近傍の遺伝的変異とAISの関連が報告され、その後も複数の関連遺伝子が見つかっています(12)(13)。(Fujita Health University)
ただし、これは単純な「遺伝病」という意味ではありません。複数の遺伝的要因に、成長、体格、ホルモン、環境などが複雑に関わる多因子性の病気と考えられています。
ですので、家族に側弯症がある場合は、過度に怖がるのではなく、早く気づける体制を作ることが大切です。学校検診の結果を放置しない。肩、肩甲骨、肋骨の出っ張りなど左右差に気づいたら整形外科を受診する。Cobb角と成長段階を確認する。これが現実的で大切な対策です。

思春期特発性側弯症と言われたからといって、すぐに運動禁止になるわけではありません。多くの場合、むしろ適切な運動は推奨されます。
もちろん、角度が大きい場合、痛みがある場合、術後、装具治療中の生活制限などは個別に主治医と相談が必要です。ただ、「側弯症だからスポーツを全部やめる」という考え方は極端です。
有名な例として、ウサイン・ボルト選手には側弯症と脚長差があることが知られています。それでも世界最速のスプリンターとして活躍しました。もちろん、これは「側弯症でも全員トップアスリートになれる」という意味ではありません。伝えたいのは、側弯症があるからといって、子どもの“やりたい”を最初から奪う必要はないということです。
一部の研究では、ダンス、スケート、体操、空手、サッカー、ホッケーなどの身体活動と側弯症の関係が検討されています。
ただし、スポーツ種目によって発生や進行を単純に説明できるわけではありません。クラシックバレエ経験との関連を示す報告もありますが、バレエが原因なのか、側弯症になりやすい体型の子がバレエを続けていたのかは明確ではありません(11)。(PubMed)
スポーツの種類や強度は、Cobb角、痛み、装具の状況、本人の希望を踏まえて、主治医と相談しながら調整しましょう。

結論から言うと、「痩せているから必ず側弯症になる」「太らせれば側弯症が治る」というのは誤解です。
一方で、思春期特発性側弯症の子に痩せ傾向が多いという研究はあります。さらに近年、低BMIとAISリスクの因果関係をメンデルランダム化で検討した研究も報告されています(15)。(PubMed)
ただし、ここで大事なのは、体型だけで原因を決めつけないことです。もともと側弯症になりやすい体質の子が痩せやすいのか、低BMIそのものがリスクに関係するのか、その両方なのかは慎重に考える必要があります。
規則正しい食生活やバランスのよい食事は大切です。でも、無理に太らせれば側弯症が治るわけではありません。
「痩せているかどうか」も、Cobb角や成長段階と同じく、治療設計を考えるための情報の一つとして捉えましょう。極端に痩せている場合や食事量が少ない場合は、主治医に共有してください。

ここは誤解がとても多いところです。
整体やカイロプラクティックなどの手技だけで、Cobb角が安定し、思春期特発性側弯症が医学的に治ると断定できる根拠は不十分です。
もちろん、手技や運動が痛み、筋肉の緊張、可動域に役立つ可能性はあります。全部ダメという話ではありません。ただし、「側弯症が治る」「装具はいらない」「手術を避けられる」と強く宣伝され、医学的評価なしに通い続けることは危険です。
実際、インターネットや書籍では、整体やカイロプラクティックで側弯症が治るように見える情報が広がっています。その結果、保険の効かない施術に時間とお金を使い、病院に来たときには高度に進行しているケースもあります。
一方で、側弯症特化型エクササイズ、いわゆるSSEやPSSEは、整体やカイロプラクティックとは別に考える必要があります。SSEは、医師、理学療法士、義肢装具士などがチームで評価し、Cobb角や成長段階を見ながら計画される運動療法です。近年、思春期特発性側弯症に対するPSSE/SSEのシステマティックレビューやメタ解析も増えています(16)。(PubMed)
ただし、SSEも万能ではありません。装具が必要な子の装具治療を置き換えるものではなく、医療チームの評価の中で組み合わせを考えるものです。
ここまで、思春期特発性側弯症について、原因、学校検診、Cobb角、リッサーサイン、経過観察、装具、手術、リュック、遺伝、スポーツ、痩せ、整体/SSEまでお話ししてきました。
最後に、いちばん大事なことをまとめます。
思春期特発性側弯症は、すべての子が治療を必要とするわけではありません。
でも、放置していい病気でもありません。
大切なのは、
・Cobb角で今の曲がりを知る
・リッサーサインなどで成長の残りを知る
・進行する前に適切なタイミングで治療を考える
この3つです。
側弯症は、古代ギリシャの時代から知られていながら、今でも原因が完全には解明されていない部分があります。ただし、装具治療の有効性は大規模研究で示され、早期発見と適切な経過観察によって、手術に至るリスクを下げられる可能性があります(7)。(PubMed)
「うちの子だけ特別なのでは」と不安になる必要はありません。東京都の大規模学校検診研究では、Cobb角10度以上の側弯症は一定数見つかっており、決して珍しい病気ではありません(2)。(PubMed)
だからこそ、正しい知識を持って、正しく見守ることが大切です。 不安をあおる情報ではなく、治療判断に役立つ情報を選んでください。
軽い側弯症では大きく進行しないこともありますが、成長期には進行する例もあります。自然に治るかどうかを見た目だけで判断するのは危険です。Cobb角と成長段階を確認しながら、定期的に経過観察することが大切です。
すぐ治療が必要とは限りません。まず整形外科で診察を受け、必要に応じてレントゲンでCobb角を測ります。軽度であれば経過観察、進行リスクが高ければ装具治療を検討します。
装具治療は装着時間が重要です。BrAIST試験では、装着時間が長いほど成功率が高い傾向が示されました。実際の装着時間はCobb角、成長段階、生活状況によって異なるため、主治医と相談して決めます。
多くの場合、スポーツをすぐに禁止する必要はありません。ただし、角度が大きい場合、痛みがある場合、装具治療中、術後などは個別判断が必要です。主治医に競技内容を伝えて相談してください。
整体や手技だけでCobb角が医学的に改善し、側弯症が治ると断定できる根拠は不十分です。SSE/PSSEのような側弯症特化型運動療法は研究が進んでいますが、医師や理学療法士などのチーム評価のもとで行うべきものです。
学校検診で「側弯症の疑い」と言われた親御さんへ。側弯症の放置リスクについて解説しております。
思春期特発性側弯症の治療方針(経過観察・装具・手術)、についてわかりやすく解説しております。
側弯症に関する気になる疑問にお答えしてます。根拠のない情報に振り回されないように、真実を知ることができます。
1. Vasiliadis ES, Grivas TB, Kaspiris A. Historical overview of spinal deformities in ancient Greece. Scoliosis. 2009;4:6./URL:(PMC)/要約:古代ギリシャにおける脊柱変形の歴史的記述を整理。/引用理由:側弯症の歴史的背景の説明に使用。
2. Ueno M, et al. A 5-year epidemiological study on the prevalence rate of idiopathic scoliosis in Tokyo. J Orthop Sci. 2011;16:1-6./URL:(PubMed)/要約:東京都の25万人超の学校検診データから特発性側弯症の有病率などを報告。/引用理由:側弯症が珍しくないことの根拠。
3. Menger RP, et al. Adolescent Idiopathic Scoliosis. StatPearls. 2023./URL:(国立生物工学情報センター)/要約:AISの定義、年齢、治療選択肢を概説。/引用理由:基本定義の確認。
4. Weinstein SL, Zavala DC, Ponseti IV. Idiopathic scoliosis: long-term follow-up and prognosis in untreated patients. J Bone Joint Surg Am. 1981;63:702-712./URL:(PubMed)/要約:未治療AISの長期予後と肺機能への影響を検討。/引用理由:重症例の呼吸機能リスク説明。
5. Weinstein SL, Dolan LA, et al. Health and function of patients with untreated idiopathic scoliosis. JAMA. 2003./URL:(PubMed)/要約:未治療例の長期自然経過を報告。/引用理由:放置リスクと成人後の経過の説明。
6. Lonstein JE, Carlson JM. The prediction of curve progression in untreated idiopathic scoliosis during growth. J Bone Joint Surg Am. 1984;66:1061-1071./URL:(PubMed)/要約:未治療側弯症の進行予測因子を検討。/引用理由:Cobb角、年齢、Risser signと進行リスクの説明。
7. Weinstein SL, Dolan LA, Wright JG, Dobbs MB. Effects of bracing in adolescents with idiopathic scoliosis. N Engl J Med. 2013;369:1512-1521./URL:(PubMed)/要約:BrAIST試験で装具治療の有効性と装着時間の重要性を示した。/引用理由:装具治療の根拠。
8. Weinstein SL. The Natural History of Adolescent Idiopathic Scoliosis. 2019./URL:(PubMed)/要約:AIS自然経過の長期知見を整理。/引用理由:成長終了後も含めた進行リスク説明。
9. Sato T, et al. Back pain in adolescents with idiopathic scoliosis. Eur Spine J. 2011;20:274-279./URL:(PubMed)/要約:新潟市の生徒を対象にAISと背部痛を検討。/引用理由:痛みに関する説明。
10. Tones M, Moss N, Polly DW. A review of quality of life and psychosocial issues in scoliosis. Spine. 2006;31:3027-3038./URL:(PubMed)/要約:側弯症とQOL、心理社会的問題をレビュー。/引用理由:整容面・心理面の説明。
11. Watanabe K, et al. Physical activities and lifestyle factors related to adolescent idiopathic scoliosis. J Bone Joint Surg Am. 2017./URL:(PubMed)/要約:日本の女子中学生を対象に生活習慣・身体活動とAISの関連を検討。/引用理由:リュック、姿勢、スポーツの誤解整理。
12. Takahashi Y, et al. A genome-wide association study identifies common variants near LBX1 associated with AIS. Nat Genet. 2011;43:1237-1240./URL:(Fujita Health University)/要約:LBX1近傍の遺伝的変異とAISの関連を報告。/引用理由:遺伝要因の説明。
13. Kou I, et al. Genome-wide association study identifies 14 previously unreported susceptibility loci for AIS in Japanese. Nat Commun. 2019./URL:(PubMed)/要約:日本人AISに関連する新規感受性遺伝子座を報告。/引用理由:遺伝研究の進展の説明。
14. Sugawara R, et al. The Japanese Scoliosis Society morbidity and mortality survey. Spine Surg Relat Res. 2021./URL:(PubMed)/要約:日本側弯症学会による小児脊柱変形手術の合併症調査。/引用理由:手術リスク説明。
15. Otomo N, et al. Evidence of causality of low body mass index on risk of adolescent idiopathic scoliosis. Front Endocrinol. 2023;14:1089414./URL:(PubMed)/要約:低BMIとAISリスクの因果関係をメンデルランダム化で検討。/引用理由:痩せ傾向とAISの関係説明。
16. Baumann AN, et al. The impact of patient scoliosis-specific exercises for adolescent idiopathic scoliosis. Spine Deform. 2024;12:545-559./URL:(PubMed)/要約:PSSE/SSEの効果をシステマティックレビュー・メタ解析で検討。/引用理由:SSEと整体の違い、運動療法の位置づけ説明。